決算が近づいてきた、あるいは新しい期が始まった。「役員報酬、今期はいくらにしよう」と手が止まっていませんか。
去年と同じにするか、少し上げるか。利益が読めないから低めにしておくか。夫婦で役員になっているなら、どちらにいくら払うか。考え始めると、決め手がなくて何日も寝かせてしまう社長は少なくありません。
この記事では、役員報酬の金額をどう考えるかと、税金や社会保険料を当事務所の無料シミュレーターで見える化する方法をご紹介します。
金額は「3つの軸」から考える
「会社と個人の負担が一番小さくなる額」を探したくなりますが、それは判断材料の1つにすぎません。負担が小さい額を取ることが、社長の目的ではないからです。私が社長と一緒に考えるときは、次の3つから入ります。
- 目標とする報酬額:社長ご自身が「これだけ取りたい」と思える金額。仕事の原動力になる額です
- 生活費:毎月の暮らしに必要なお金
- 会社と個人に残したい資金:会社の運転資金や、個人の貯蓄・将来への備えとしてどれだけ残したいか
ここから候補の金額を決め、会社の資金繰りに無理がないかを確認します。報酬を払った後も、会社に運転資金が残ることが前提です。
そして、その金額だと税金や社会保険料がどうなるかを数字で見える化するのがシミュレーターの役割です。「効率だけなら年収600万円が有利」という結果が出ても、1,000万円を目標にすることに問題はありません。結果は、納得して決めるための材料として使ってください。
4つのシミュレーターの使い分け
当事務所では、役員報酬を考えるための無料シミュレーターを4つ用意しています。悩みに合わせて選んでください。
役員報酬を3パターンで比べたい:役員報酬の比較シミュレーター
- こんな人向け:候補の金額が2〜3つあって、どれにするか決めかねている社長
- 見るポイント:会社の利益、法人税等、社会保険料、個人の税金、そして手取りの合計。金額を変えると、どこが動くのかを見てください
夫婦で役員になっている:夫婦の役員報酬シミュレーター
- こんな人向け:配偶者も役員で、2人への配分に迷っている社長
- 見るポイント:2人の合計額が同じでも、配分によって税金や社会保険料は変わります。家計全体の手取りで比べましょう。仕事の実態に見合った報酬であることも大切です
月額と賞与のバランスを考えたい:月額と賞与のバランス・シミュレーター
- こんな人向け:業績が読みにくく、月額は抑えて賞与で調整したいと考えている社長
- 見るポイント:年収が同じでも、月額と賞与の割合で社会保険料が変わります。賞与が支給できなかったときに、月額だけで生活できるかも合わせて確認してください
役員報酬と配当、どっちが得か:役員報酬と配当のシミュレーター
- こんな人向け:利益が出ていて、報酬に回すか配当にするかを比べたい社長
- 見るポイント:配当は社会保険料がかからない一方、会社の経費にはなりません。会社と個人の合計手取りで見るのがコツです。また、配当は株主への分配なので、株主構成にも左右されます
結果を見るときの注意
シミュレーターは便利ですが、数字の裏にある役員報酬のルールは押さえておきましょう。
| 方法 | 押さえておくこと |
|---|---|
| 定期同額給与(月額報酬) | 期首から3か月以内に決める。年度の途中での変更は原則できない |
| 事前確定届出給与(役員賞与) | 税務署への届出が必要。届出どおりの金額・日付で支払わないと、経費として認められないことがある |
| 配当 | 経費にならない。株主への分配のため、株主構成にも左右される |
つまり、シミュレーターで「この金額がいい」と思っても、期首から3か月を過ぎると月額は動かせません。決算前の時期に試しておくと、次の期首に慌てずに済みます。それぞれの仕組みは役員報酬の決め方ガイドで詳しく解説しています。
毎月の数字を見ながら、一緒に決める
役員報酬は、決めたら終わりではありません。業績や家計の状況は毎年変わります。当事務所では、毎月の面談で試算表を見ながら、「今期の着地はどうなりそうか」「来期の報酬はどうするか」を社長と一緒に確認しています。
シミュレーターで試してみて、「この数字をどう読めばいいのか」と迷ったら、お問い合わせから、初回相談(オンライン・30分・無料)をご利用ください。


