こんにちは、税理士の廣島です。
「月次決算が大事なのはわかった。でも、毎月なにをすればいいの?」
以前の記事で、月次決算をやるべき理由や、試算表を毎月見ることの大切さをお伝えしました。今回はその続きとして、freeeを使って毎月どんな手順で締めればいいのかを具体的に解説します。
結論から言うと、月次決算は次の4つの手順を毎月くり返すだけです。
- 登録ルールを磨きながら「自動で経理」を空にする
- 領収書はファイルボックスに集めて「未登録ゼロ」に
- 売上も経費も「何月分か」で計上する(売上はfreee請求書で発行)
- 月をまたぐ費用を調整する
手順1〜3で使うfreeeの機能(自動登録ルール・ファイルボックス・freee請求書)を使いこなせば、月次決算はほとんど「確認作業」だけになります。
そもそも月次決算とは?
月次決算とは、1か月ごとに帳簿を締めて、その月の利益と財産の状態を確定させることです。
つまり、年に1回の決算を「毎月の小さな決算」に分けてやるイメージです。freeeは明細の取り込みや仕訳の多くを自動化できるので、仕組みさえ作ってしまえば、毎月の負担はぐっと小さくなります。
手順1:登録ルールを磨きながら「自動で経理」を空にする
まずは、銀行口座・クレジットカードから取り込まれた明細をすべて登録します。「自動で経理」に未処理の明細が残っていると、その分の売上や経費が試算表に載りません。
ここで大事なのが、登録するたびに自動登録ルールを磨いていくことです。
毎月同じ取引先・同じ内容の明細は、ルールを一度作れば次の月から自動で推測・登録されます。最初の数か月は手間がかかっても、ルールが育つほど月次決算は短くなっていきます。つまり、月次決算の手間を減らす一番の近道は、ルールへの投資です。ルールの育て方は「自動で登録ルールを育てる」で、個人事業主の方は家事按分の設定方法もあわせてご覧ください。
手順2:領収書はファイルボックスに集めて「未登録ゼロ」に
領収書・レシートは、スマホで撮ってfreeeのファイルボックスに入れるのを習慣にしましょう。
紙を月末にまとめて整理しようとすると、どうしても漏れが出ます。ファイルボックスに集めておけば、
- 現金払いの経費の登録漏れに気づける
- 口座・カードの明細と証憑(つまり、取引の証拠書類)をひもづけられる
- 紙の保管・整理の手間が減る
と、いいことずくめです。毎月、ファイルボックスの「未登録」が残っていないかを確認しましょう。具体的なやり方はfreeeの経費入力のおすすめ方法と「ファイル紐づけチェック」の記事で紹介しています。
手順3:売上も経費も「何月分か」で計上する
月次決算でいちばん差がつくのがここです。
売上も経費も、入金・支払いの日でも、請求書の日付でもなく、「何月分の取引か」で計上するのが基本です。
- 売上:請求書を作った日ではなく、業務が完了した月(商品を納めた月)の売上にする
- 経費:届いた請求書の日付ではなく、請求の内容が何月分かで計上する
たとえば、9月末に終わった仕事の請求書を10月5日に作ったら、それは9月の売上です。同じように、外注先から10月5日付で届いた「9月分」の請求書は、9月の経費です。
ここを整理しないと、どうなるか。
| 9月 | 10月 | |
|---|---|---|
| 売上(9月に完了した仕事) | 100万円 | — |
| 外注費(その仕事の9月分) | —(10月の請求書日付で計上) | 60万円 |
| 利益 | 100万円 | ▲60万円 |
本当は9月に「売上100万円・外注費60万円・利益40万円」だったはずが、9月は利益が出すぎ、10月は赤字に見えてしまいます。つまり、売上と経費がバラバラの月に載ると、毎月の利益が実態と合わなくなるということです。これでは、せっかく試算表を見ても正しい判断はできません。
売上はfreee請求書で発行する
ここで役立つのがfreee請求書です。freee請求書で発行すると、
- 売上が「未決済」で自動計上される
- 入金があれば、明細と消し込むだけ
- 「まだ入金されていない請求書」が一覧で見える
ので、売上の計上漏れや回収漏れを防げます。Excelやほかのソフトで請求書を作って、freeeに手で入れ直す──この二度手間がなくなるのも大きなメリットです。
ポイントは、売上をいつの月に計上するかです。freee請求書には、請求書の日付とは別に「発生日」という設定があります。ここを業務が完了した月の日付にしておけば、請求書を10月に作っても、売上は9月に計上できます。
操作は、請求書の画面で「取引」→「取引内容を編集」を選び、発生日を書き換えるだけです。


もっとシンプルにするなら、請求書の日付そのものを前月末にするのもおすすめです。9月分の仕事なら、請求書の日付を9月30日にして発行する。これなら請求書の日付と売上の月がそろうので、迷うことがありません。
受け取った請求書も同じです。ファイルボックスに入れたら、「何月分か」を見て発生日を決める。これを毎月くり返すだけで、試算表の精度は大きく変わります。
締めのときは、売掛金・未払金に何か月も残ったままの古い残高がないかもあわせて確認しましょう。
手順4:月をまたぐ費用を調整する
最後に、毎月の利益を実態に近づけるための調整です。
- 在庫がある業種:月末の在庫を計上する(しないと、仕入れた分がすべて経費になり利益が小さく見えます)
- 固定資産がある場合:減価償却費を月割りで計上する(年1回まとめて計上すると、決算月だけ利益が急に減ります)
ここまでやれば、その月の試算表は「経営判断に使える数字」になります。
目安のスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 翌月1日〜5日 | 手順1〜2(明細の登録・ルールの見直し・ファイルボックスの整理) |
| 翌月10日まで | 手順3〜4(売上・経費の計上月の確認、調整)→ 締め |
| 翌月15日ごろ | 試算表を計画と比べ、次の一手を決める |
翌月10日までに締めるのを目標にすると、数字が新鮮なうちに次の手が打てます。
締めたら、計画と比べる
月次決算は、締めて終わりではありません。締めた数字を、計画と比べてはじめて意味を持ちます。
見るべきなのは、この3つです。
| 項目 | 計画と比べて見るポイント |
|---|---|
| 売上 | 目標どおりか |
| 原価率 | 想定の範囲に収まっているか |
| 利益 | 目標に届いているか |
たとえば「売上は計画どおりなのに利益が足りない」なら、原価率が上がっているか、経費が膨らんでいるかのどちらか。原因がわかれば、値上げするのか、仕入れ先を見直すのか、来月の経費を絞るのかという次の一手が決まります。計画そのものが現実とずれてきたら、計画のほうを修正する判断も必要です。
つまり、「計画を立てる → 毎月締める → 計画と比べる → 直す」。このサイクルが回ってはじめて、月次決算は経営の武器になります。計画の作り方は「経営計画は1枚でいい」で、ずれの原因の探し方は「赤字の原因は損益計算書でわかる」で解説しています。
あわせて、現預金の残高も必ず見てください。利益が計画どおりでも、お金が減っていることはよくあります(黒字なのに現金が足りない理由)。
決算まで残り数か月の時期は、このペースで決算を迎えると利益・税金がいくらになるかの着地予測も大切です。決算が終わってから税額を知るのと、2〜3か月前に見えているのとでは、納税資金の準備も節税の検討もまったく違ってきます。
1か月後、2か月後の数字では遅い
ここで大事なのがスピードです。
月次決算をやっていても、試算表ができあがるのが1か月後、2か月後では、数字が見えたころにはもう次の月、その次の月が終わっています。「8月の利益が足りなかった」と10月に知っても、打てる手は限られます。
翌月の早いうちに締めて、すぐ計画と比べる。数字が新鮮なうちに次の一手を打てることが、月次決算のいちばんの価値です。そのためにも、手順1〜3の「登録ルール・ファイルボックス・freee請求書」で、締めるまでの時間を短くしておくことが効いてきます。
まとめ
- 月次決算は「1か月ごとに帳簿を締めて、利益と財産を確定させること」
- freeeなら4つの手順のくり返しでOK
- 登録ルールを磨きながら「自動で経理」を空にする
- 領収書はファイルボックスに集めて「未登録ゼロ」に
- 売上は業務の完了月、経費は「何月分か」で計上する(freee請求書を活用)
- 在庫・減価償却など月をまたぐ費用を調整する
- 翌月10日までに締めるのが目標。1か月後・2か月後の数字では手遅れになる
- 締めたら、売上・原価率・利益を計画と比べる。ずれていれば次の一手を打ち、必要なら計画を直す
- 「計画 → 月次決算 → 比較・修正」のサイクルを回すことで、月次決算が経営の武器になる
当事務所の月次決算
月次決算に対応している税理士は、実はまだ多くありません。対応していても、試算表が届くのは1か月後、2か月後ということも少なくないのが現実です。
当事務所では、
- 経営計画の作成(目標の売上・原価率・利益を決める)
- 月次決算(登録ルール・ファイルボックス・freee請求書で、スピーディーに締める仕組みづくりから)
- 計画との比較・修正(毎月面談で実績と計画を比べ、次の一手と計画の見直しを一緒に考える)
までを一貫してサポートしています。数字が新鮮なうちに経営判断ができるよう、スピードにこだわって伴走しています。詳しくは月次決算サポート・経営計画・freee活用のページをご覧ください。


